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にっかり青江と『常山紀談』について

  • 2015/04/13(月) 00:14:58

またも久しぶりの更新となってしまいました。

今回は、某刀剣ゲームで一躍有名になった「にっかり青江」について書きました。



にっかり青江については、もうそのまま「にっかり青江」でググると大体の情報が出ています。
「刀剣乱舞」を除く検索上位に来るのはウィキペディアの他に、「名刀幻想辞典」とかこちらのサイトとかこちらのサイトとかです。


要約すると、にっかり青江はニッカリと笑う女の幽霊もしくは化け物を斬った刀であり、女と思ったものは石燈籠だったり石地蔵だったりした、というような逸話です。


問題はその参考文献。上で挙げたサイトでは、文献として『享保名物帳』と『常山紀談』を紹介しています。『享保名物帳』は江戸時代に書かれた刀の紹介書、『常山紀談』は湯浅元禎の手による、いわゆる戦国時代頃の武士や大名の逸話を纏めた本です。


今回、この内の『常山紀談』の中にあるという「浅野長政の家臣が使いの道中でニッカリ笑う女を斬った。帰り道に確認すると石地蔵の首が落ちていた。」という逸話を読もうと調査しました。
手にとったのは1992年に和泉書院から出た『常山紀談 本文篇』と『常山紀談 索引資料篇』(ともに菊池真一編)。


しかし……どこにも無い。まず『索引資料篇』の人名や地名、主要単語の索引を参考に当たりをつけ、次に『本文篇』を最初から最後まで流しで読み切り、最後に『索引資料篇』に載っていた『常山紀談拾遺』(湯浅元禎本人の増補)まで読み込んでも、にっかり青江の話はどこにもありませんでした。
わずかに「青江の脇差しを授けた」云々の話はありましたが、前後の文脈を考えて、これがにっかり青江である可能性は限りなく低い。


もしかすると、この本が参考にした『常山紀談』原本に記述漏れや落としがあったのかもしれない。あるいは自分が単に疲れから見落としているのかもしれない。後者は自分のミスであり、前者は別の本を調査すれば判明します。しかし、今回調べた中から結論をつけるなら、「『常山紀談』に「にっかり青江」に関する記述は存在しない」ということになります。


この疑問をTwitterで呟いた所、リプライで「『武将感状記』という本と混同しているかもしれない」とリンク付きで教えていただきました。


『武将感状記』は熊沢猪太郎(熊沢淡庵)の手による、『常山紀談』と同じく戦国期の武人に関する逸話をまとめた本です。さっそくリンク先の近代デジタルライブラリーを確認したら、このように記されていました。



 浅野長政の歩士変化物を斬る事
 浅野弾正少弼長政の歩士伊勢に使して、道に墓原ある所を夜半に過ぎりけるが、変化の物出でぬ。身に火炎ありて不動明王の形の如し。火光の中に其の面を見れば、にかりにかりと打笑いて来る。
 歩士刀を抜いて走りかかり之を斬るに、火光たちまち消えて暗夜となりぬ。
 それより伊勢に往き、明日帰路に右の所を見れば、苔むしたる石仏の頭より血流れ出で、切先外れに斬りたる跡あり。
 是を取りて帰り人に云ひしも、誠しからねば親しき友に密に語り、その刀を見せけるに、刃に血つき石のひきめあれど刃かけず。
 浅野長政之を聞いて秀吉の聴に達す。秀吉彼の刀を召しよせ一覧あるに、備中青江の作にて二尺五寸あり。是名物なりと云ひて、にかりと異名をつけて秘蔵せらる。其の後京極若狭守忠高の家に伝はれり。
(行変えと漢字直しはブログ主の手による)



なるほど確かに浅野長政の家臣が石地蔵の首を斬った、という点は共通しています。しかし、女がにっかりと笑った云々ではない所が気になります。ちなみに、藤澤衞彦の本(題名は失念してしまいました)に紹介されている「ニカリ」という話が、この『武将感状記』の記述のような話だ、と畏友から聞き及んでおります。

今回はここまでしか調べられませんでしたが、まだ調査の余地はあります。他の『常山紀談』に関する本を調べる事、上述のサイトが参考文献としている『日本刀おもしろ話』の確認、ちらとしか確認していない『享保名物帳』の精査と比較、ついでに藤澤衞彦の本の確認などです。
これらは調査次第、追記で報告していこうと思います。

最後に、今回情報を提供してくださった のいまご様、本当にありがとうございました!

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