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『かが風土記』の感想

  • 2013/11/16(土) 17:08:20

 こんにちは、こぐろうです。

 今回は、石川県加賀市の民俗調査報告書である『かが風土記』を読んでの感想を記していこうと思います。




 『かが風土記 ~見て、歩いて、学ぶ旅~』は、石川県加賀市による総合民俗調査の成果をまとめた報告書です。

 調査は平成19年度から23年度にかけて、国際日本文化研究センター所長の小松和彦先生の監修のもと行われ、京都学園大学の佐々木高弘先生・堀田穣先生、大阪観光大学の橘弘文先生が報告書を作成しました。

 市が民俗学や観光学の教授方とともに調査をし、まとめた報告書ですので、学術的な堅苦しいもののように感じてしまいますが、実際には手に取りやすいサイズ、読みやすい内容のガイドブックのような形式の報告書となっています。

 最初のカラーページにて加賀市の観光地や温泉地、山々についてのガイドブック的紹介があり、本文はカラーページの紹介の中から更に詳しく、

1.城下町大聖寺の妖怪伝説
2.山代温泉の民俗
3.東谷の民俗
4.文学者・深田久弥と加賀の山について

以上の4つの項目で民俗調査報告がなされています。


 カラーページは写真も多く使われ、名所の住所電話番号などの情報も記されていて、加賀に旅行やフィールドワークに行く際、役に立つようになっています。


 一章の「城下町と妖怪」は、江戸時代の大聖寺に伝わる妖怪・怪談話をまとめた『聖城怪談録』の内容を、古地図と見比べながら紹介していく内容となっています。101話の怪談それぞれが、大聖寺のどの辺りの話なのかを1話ごとに検証し、またその怪談の内容についても解説がなされています。

 小松和彦先生が妖怪に関する研究で有名なことからか、報告書の中でも、この章は最も力を入れている充実した内容となっており、いち妖怪好きとして楽しく読ませていただきました。それぞれの話にわかりやすい解説や類例がちゃんと記されているので、妖怪・怪談初心者でもわかり易い内容になっていると思います。

 ただ、気になる点も幾つか。話の類例にあげているものの殆どが、水木しげるの『日本妖怪大全』『日本妖怪大鑑』であるという点です。わかり易さを考えた上での記述というのはわかりますが、民俗学の報告書でありながら、類例とはいえ娯楽書の内容を典拠にするのはあまり良くないのではないでしょうか。水木氏の妖怪画とそれに付随する解説を民俗学の分野で用いるくらいならば、より原典の、きちんとした民俗報告書から引っ張ってくればよかったのに、と思ってしまいました。


 二章の「山代温泉の昭和紀行」は、加賀の温泉地の一つである山代温泉において、約五十年前の人々がどのような生活をしていたかを聞き取り調査し、それを紀行文風に仕立てた内容となっています。当時の人々の生活がどのようなものだったかがよく分かる構成となっており、これもまたとてもわかりやすく民俗記録を知ることができます。


 三章の「加賀東谷の民俗をめぐる」は、東谷地区の村々をめぐり、そこの生活や伝承についてを聞き取り記録した、この本の中では直球的な民俗報告書です。

 村の成り立ちや生産物、そしてお化けの伝承や俗信など、その内容は多岐にわたり、民俗学が好きな人には面白い内容となっています。また、加賀における山岳エコツアーの紹介ともなっており、自然と人の営みについて、フィールドワークや体験によって学ぶ内容となっています。


 四章の「深田久弥の山々を歩く」は、『日本百名山』を記した、加賀出身の文学者・深田久弥の文章とともに、加賀の山々についての紹介がなされています


 全体的に、これまでの民俗学調査報告書とは全く異なる、多くの人々に広く読まれることを想定したような内容となっており、とてもわかり易く加賀の自然と民俗について学べる本となっています。個人的には『聖城怪談録』を通して、加賀の地元妖怪伝承を知ることができたのがとても楽しかったです。

 ただ残念なことに、この本は一般には流通しておりません。加賀の図書館などにはあるそうですが、個人への頒布は現在行なっていないようです。非常に残念。

もしも入手できる状況になりましたら、皆さんにもぜひ読んでいただきたい本ですので、記憶に留めておいていただければ幸いです。

 「かが風土記」についてはこちらを参照ください

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