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ムラサ(妖怪)について。

  • 2012/08/04(土) 22:44:07

 久しぶりの更新です。

 妖怪のムラサについて、色々とわかってきたので、こちらで詳しい報告をば。

 ムラサは村上健司『妖怪事典』によると、


 島根県隠岐郡都万村でいう海上の怪異。この地方では夜光虫の光る潮のことをニガシオというが、その中に時折丸く固まってボーッと光っているものがある。ここに船が乗り掛かると、パッと散ってしまう。
 また、暗夜に突然海が明るくなってチカッと光ることがある。これはムラサという化け物に憑かれたのだという。こういう時は、刀か包丁を竿の先につけて、艪の海面を左右に数回切るとよいと伝わる。
『沿海手帖』「島根県隠岐郡都万村」大島正隆
『綜合日本民俗語彙』民俗学研究所編


とあります。

 『綜合日本民俗語彙』によると、


 隠岐の都万村でいう海の怪。ニガシオ(夜光蟲の光る潮)の中で、ときどきまんまるくかたまつてぼーっと光つているものがある
 それへ船を乗りかけるとぱつと散る。暗夜に突然海が明るくなりチカッとする。これはムラサという魔物につけられたのだという。そういうときは、刀か包丁を竿の先につけて艪の海面を数回切るとよい(沿海手帖)
(※原文ママ)


とあります。

 文章から、『妖怪事典』は『綜合日本民俗語彙』を参考にしたのだろうと推測できます。

 では、おそらく原典であろう大島正隆の『沿海手帖』ですが、これは本来はフィールドワークをする際の質問などをまとめ、自分で内容を書き込むメモ帳であったようです。

 これを大島正隆が隠岐郡都万村におけるフィールドワークの時に使用し、その報告が『綜合日本民俗語彙』に載ったものと考えられます。

 その大島正隆直筆のメモは、現在成城大学の民俗学研究所に保管されている「柳田文庫」にあり、写しが東北大学にあるそうです。

 以前、成城の民俗学研究所に問い合わせたところ、コピーしたものを閲覧することが出来ました。しかし、内容をネットなどで公開することは許可できないと念押しされていたので、その内容を報告できないでいました。

 しかし、全く別件(衣蛸という妖怪の調査)で柳田國男の『海村生活の研究』を読んでいたところ、大藤時彦の「海の怪異」という章において、『沿海手帖』のムラサごほぼそのままの状態で記載されているのを確認しました。


 隠岐にはムラサといつてニガシホ(夜光虫の光る潮)の中で時々まんまるく固つて光るものがある。それに舟を乗りかけるとパット散る。
 暗夜に一生懸命櫓を押してゐる時、突然グワーッと海が明るくなるからヂカッとする。これはムラサといふ魔物につけられたと云つてゐる(島根都萬村那久、油井)。
 ムラサにつけられると廻船などでも舟足が鈍つて進まない。そんな時には刀か包丁を竿の先につけて艪の海面を數囘左右に切るとよい(同津戸部落)。
(※原文ママ)


 大島正隆の報告とほぼ同一なので、彼のメモからの出典と思われます。

 『総合日本民俗語彙』などからは省かれた記述があるので、中々興味深いですね。

 ムラサの原典は中々確認できませんが、『海村生活の研究』は比較的容易に手に取ることができるので、気になった方は確認されてはいかがでしょうか。

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